この度、当サイトのドメインを Cloudflare Registrar にドメイン移管しました。その手順について書き残しておこうと思います。

背景

移管を決めた経緯

2016年7月9日のドメイン取得以降、7年間にわたり「お名前.com」を利用してきました。それなりにお世話にはなりましたが、不満点もあり、ここ数年は1年に1度ドメイン更新の時期が迫るたびに、「あー他のドメインレジストラに移管したいな、でも時間ないからいいや」という状態が続いておりました。

お名前.com の不満点を並べてみると

• 広告が多い

• メールがしつこい

• 管理画面が使いづらい

  • 管理画面の構造がわかりにくい

• おせっかい機能が多い

• 多機能、多サービスだが、使う機会がなく使いこなせてない

などなど…

さらに、今年に入ってから「サービス維持調整費」と題した事実上の値上げが行われています。昨今の情勢や電気代の値上げ、円安のこともあり、国内外のレジストラが軒並み値上げしているので、値上げ自体は理解しますが…

参考：2022.12.26【お知らせ】【重要】[お名前.com]「サービス維持調整費」についてのご案内｜お知らせ｜ドメイン取るならお名前.com

この「サービス維持調整費」が1～3ヶ月ごとに変動する可能性がある（実際、6月にさらに値上がっている）のでドメイン管理費に関して先が見通せないというのと、先に挙げた不満点から利用し続けるメリットが見込めず、原価で提供している Cloudflare へのドメイン移管を決意しました。

そもそも .com ドメイン自体が値上がっている

そもそも円安関係なしに、.com ドメインの管理会社である Verisign 社が「.com ドメインを毎年最大7%ずつ値上げする」という合意が ICANN との間でなされたという報道もあり、今後の .com ドメインの値段については不透明です。

「.com」ドメイン登録手数料が今後10年で最大70％も値上がりする可能性 - GIGAZINE

実際に、.com ドメインの登録手数料自体、ここ2年連続で 7.85 USD → 8.39 USD → 8.97 USD と値上がっていますし、今年も9月に 9.59 USD への値上げのアナウンスがなされています。

Verisign announces another .com price hike - Domain Name Wire | Domain Name News
Verisign has decided to increase the price of the .COM

お名前.com も含め、ほとんどのドメインレジストラは Verisign の登録手数料に自社の手数料を上乗せして提供しているので、大元が値上げすれば他のサービスもその値上げに追従することになります。

この点を踏まえると、 Cloudflare のようなドメインを原価で提供されているレジストラを利用するメリットがますます際立ってきます。むしろ原価で提供してくれる方が異常ですが…

以上の点から、原価でドメインを更新できる Cloudflare Registrar で数年分を一度に契約するのが一番得策だと判断しました。

手順

さっそくやっていきましょう。ちなみに現在利用しているホスティングサーバは GitHub Pages ですが、今回はこちらの操作は不要です。操作が必要となるのは移管元と移管先のレジストラです。

1. Cloudflare に登録＆クレジットカードを登録する

https://www.cloudflare.com/ja-jp/products/registrar/

Cloudflare のアカウントを作成します。

アカウントを作成したら、管理画面の右上の人のアイコンをクリックし、「請求」を選んで更新料支払い用のクレジットカードを登録します。

2. 移管したいドメインを登録する

移管したいドメインのサイトを登録する必要があるので登録します。

ドメインを入力して「サイトを追加」を選択すると、

この後ネームサーバの設定を求められるのですが、後からでもできるので後ほどやることとします。

3. お名前.com の Whois 情報公開代行を解除する

移管前に、お名前.com で Whois 情報公開代行を利用している場合はこれを解除する必要があります。

これは「ドメイン」→「ドメイン機能一覧」→「Whois情報公開代行」から「Whois情報公開代行設定の解除はこちら」をクリックすることで解除可能です。

で、解除しようとしたら…

「未入金の請求があるので設定不可」という旨の表示がありました。

そういや先日、こんなメールが来てました。

どうやらこれ、ドメイン更新期限の1ヶ月前を切っていて、お名前.com 側が勝手に更新手続きを開始していたため未入金扱いになっていたようですね…

というわけで、一旦「お客様情報管理」→「ご請求情報」→から「ご入金待ち」になっている請求をキャンセル。

しばらくすると「キャンセル」状態に。これで Whois 情報公開代行の解除が可能になりました。

当然ながら、情報公開代行を解除すると Whois が公開され、自分の住所氏名が丸見えになってしまいます。Cloudflare への移管が完了すると再び隠せますので、ここからはテキパキと作業を進めます。

4. お名前.com で AuthCode を取得する

次に、ドメイン移管のために利用する AuthCode を表示します。

「利用ドメイン一覧」から移管するドメインを選択し、ドメイン詳細を開いて AuthCode の「表示」をクリック。

ここでドメイン移管理由（たぶんただのアンケート）を聞かれるので、該当する理由を選んで「次へ」をクリック。

これで AuthCode が表示されるので、メモ帳にでもコピペしておきます。

5. ネームサーバを変更する

移管前にネームサーバを Cloudflare に変更しておきます。ここがちょっと分かりにくいのですが、この設定は「DNSレコード設定」ではできません。「ドメイン」→「ドメイン機能一覧」→「ネームサーバーの変更」から設定できます。

「他のネームサーバーを利用」を選び、

Cloudflare 側の管理画面（ドメインの「概要」画面）に表示されているネームサーバーをお名前.com 側のネームサーバー設定にコピペして登録します。

これで完了です。程なくして、ネームサーバが反映されると Cloudflare 側にこんな表示が出てくるはずです。

この時点で お名前.com に設定していた DNS 設定は Cloudflare 側にも引き継がれます（ただし、多すぎると一部しか引き継がれないっぽく、残りは手動で追加してやる必要がありました）。

6. ドメイン移管

いよいよ移管を実行します。

まずは Cloudflare 側でアカウント画面の「ドメイン登録」→「ドメインの移管」を選び、移管したいドメインを選択して「ドメインを確認する」をクリック。

このとき、1年分の更新料がクレジットカードに請求されますが、特に他に請求されることはありません。

「承認コード」には先程 お名前.com で取得した AuthCode を貼り付けます。

さらに連絡先情報を入力してポチポチっと操作すると、「移管が進行中です」と表示されます。

ここから15分くらい待つと、お名前.com から「【重要】トランスファー申請に関する確認のご連絡」という題名のメールが届きます。このメールに貼られたリンクをクリックして、移管を承認します。

さらに15分くらい待つと移管完了の通知が届きます。

以上で移管作業は完了です。DNS の反映に少し時間がかかりますが、しばらくすると正常に Web サイトにアクセスできるようになりました。

最後に Whois も確認。DATA REDACTED となっており、こちらもバッチリ隠蔽されました。

おわりに

お名前.com の管理画面が煩雑で少し手間取りましたが、比較的スムーズに移行できました。ドル決済なので、もう少し円高の時期にやりたかったという気持ちはありますが、せいぜい数十～数百円の違いなので気にしないことにします。

追記（2023/06/12）

そういえば移管前に、移管後のことについて少し気になっていた点があったので、それらについて補足しておきます。

1. 移管後のドメイン有効期限は？

1つ目の疑問点は、ドメイン移管した後、移管後の有効期限は元々のドメイン取得日と同じ日なのか、あるいは移管した日なのか？という点です。

結論から言うと、移管後もドメインの有効期限は「元々のドメイン取得日」です。

自分の場合、2016年7月9日にドメイン取得したので、移管前の お名前.com では1年契約で毎年7月9日が更新期限となっていましたが、これは6月10日に Cloudflare Registrar に移管した後も変わらず、来年の7月9日のままでした。移管と同時に1年分の更新料金を支払うことになるので、更新期限は1年分延長されます。

2. Cloudflare への移管時にドメインは複数年契約できる？

2つ目の疑問点は、移管時に2年以上ドメインを契約できるか？という点です。

自分が見た限りでは、契約時は1年分しか契約できないように見受けられました。ドメイン移管を契約する際に1年分の更新料金が請求されるのですが、契約年数を選択するオプションは見当たりませんでした。

ただ、移管後に管理画面からドメインの契約年数を更新できるので、移管直後に数年契約に切り替えることはできるかと思います。

3. 移管後は移管元（お名前.com）側の解約申請は必要？

必要ありませんでした。トランスファー申請を承認すると、自動で お名前.com 側は解約扱いになっており、管理画面からも移管したドメインは消えていました。

4. レートはどれくらい？

Cloudflare はドル決済ですので、レートによって支払額が異なります。基本的にはクレジットカードの為替レート次第です。

自分が支払った時点では1ドル139.40 円（139.40 × 9.15 ≒ 1271.51 円）でしたが、実際の請求額は1310円（1310 ÷ 9.15 ≒ 143.17 円）でした。