今回はxv6をMacでビルド&実行する環境を導入したいと思います。具体的には、xv6-riscvをRISC-Vクロスコンパイラでビルドし、QEMU上で動作させます。
Linuxでも導入可能ですが、クロスコンパイラのビルドが必要になるようです。その反面、Macではビルド済みのクロスコンパイラがHomebrew上に用意されています。

xv6とは

天下のMIT様が開発したUNIXライクな教育用OS。元々はVersion 6 UNIXをx86環境で動作するようにしたもので、OSの仕組みの学習用にシンプルに作られています。C言語で記述されており、xv6-riscvはRISC-V上で動作します。

実行環境

  • OS : macOS Monterey 12.2.1
  • モデル : MacBook Pro 2016
  • RAM : 8GB
  • CPU : Intel Core i5 @ 2GHz
  • Homebrew : version 3.4.0
  • エミュレータ : QEMU emulator version 6.2.0

注:RISC-Vのクロスコンパイラについて

今回は、xv6をビルドするために必要なクロスコンパイラriscv-toolsをインストールします。
brewでインストール可能ですが、riscv-software-src/homebrew-riscvのREADMEによると、macOS Monterey(macOS 12)ではビルド済みのriscv-toolsがインストールできるのに対し、それ以外のバージョンではビルドしてからインストールする作業が必要のようです。riscv-toolsには膨大な数のsubmoduleが含まれているので、結構時間を要するかと思われます。
よって、Monteryではビルド済みのものが公開されていますので、事前にMacをMonteryにアップグレードしておくことをおすすめします。

導入手順

1. QEMUのインストール

xv6-riscvを動作させるためのエミュレータQEMUを導入しますが、Macでは最初からQEMUがインストールされています。

$ qemu-system-riscv64 --version
QEMU emulator version 6.2.0
Copyright (c) 2003-2021 Fabrice Bellard and the QEMU Project developers

もしもインストールされていなかったらHomebrewでインストール可。

$ brew install qemu

2. RISC-Vのクロスコンパイラの導入

xv6をビルドするためにRISC-Vのクロスコンパイラをインストールします。
なお、riscvのリポジトリから導入するため、予めriscv-software-src/riscvをbrew tapしておきます。

$ brew tap riscv-software-src/riscv
$ brew install riscv-tools

3. xv6-riscvのクローン(or ダウンロード)

任意の場所にxv6-riscvのリポジトリをcloneします。

$ git clone https://github.com/mit-pdos/xv6-riscv.git

これでビルド環境の導入は完了。

ビルド&実行

ビルド環境が整ったら、xv6-riscvのリポジトリをcloneした場所で

$ make qemu

でxv6のビルドと実行が可能です。

完了すると、ターミナル上でQEMUでxv6-riscvが実行されます。
スクリーンショット 2022-03-04 23.20.22

上記はxv6上でlsコマンドを実行している様子。xv6 kernel is bootingから下がQEMUでxv6を実行している際のコンソールです。終了時はC-A xcontrolキー + A同時押しx)でQEMUを終了します。

おわりに

せっかく導入したので、なんか色々実装して遊んでみたいと思います。つづくかも?

参考資料