前回の記事に引き続き、ヨーロッパ渡航の記録です。今回はその後編、ミュンヘンでの出来事を書いていきたいと思います。
前回はこちら → 初めてのヨーロッパ渡航記#1(アテネ編) | 為せばnull
シリーズ目次
- #1 初めてのヨーロッパ渡航記#1(アテネ編)
- #2 初めてのヨーロッパ渡航記#2(ミュンヘン編)(この記事)
前回のあらすじ
同行者と別れ、飛行機の欠航により突如1人でドイツ・ミュンヘンに泊まることに。
飛行機のトラブルによりフライトが延期され、突然ミュンヘンで2泊することになりました。一人なので右も左もわからない状況。
— yotio (@yotiosoft) April 26, 2024
欠航がわかったのは日本に帰国する当日の朝。
予想外に出来事に何も下調べしていない状況で、英会話もままならず、右も左もわからないまま、果たして無事帰国できるのか?
ドイツに到着
こうなったら仕方ありません。まずはアテネからミュンヘンへのルフトハンザの便に乗り、ミュンヘンに移動しました。
第一関門:荷物受け取り
もともとの航空券では、ミュンヘンでは当日の羽田便への乗り換えのみの予定だったため、預け荷物は原則、羽田での受取になります。ミュンヘンでは乗継便への荷物の詰替えのみが行われるため受け取れません。
しかし、ミュンヘンで宿泊するため、着替えなど預け荷物に入れた物が必要です。まずは「もしや特例で普通に預け荷物を手荷物受取場で流してくれるのではないか?」と思い baggage claim に行きましたが、30分近く待ってもやはり流れてきません。
幸い、すぐ近くにルフトハンザの baggage tracking のカウンタがありました。名前からシて、おそらくロストバゲージのときのサポートカウンターかと思いますが、とりあえずここで聞けばなんとかなりそうです。
Google 翻訳を使いつつ「今日ここで東京行きの◯◯便に乗り換える予定だったんだけど、乗り換えの便がキャンセルされました。今日ミュンヘンで宿泊するので、預け荷物を受け取らせてもらえますか?」といった内容を伝えたところ、なんとか通じたようで、特別に取り出してもらえました。よかった。
第二関門:ホテルの予約・受付
ミュンヘンであれば空港周辺にホテルはいくらでもありますので、ネットさえつながれば探すのも予約するのも大した苦労はしません。インターネットがある時代で良かったです。
近くのノボテルを予約しました。ALL.com というサイトで割引価格で 1泊 125 ユーロほどでした。空港から1駅隣の Flughafen München Besucherpark 駅から徒歩範囲です。
受付では「Hello. I would like to check-in.」と言ってパスポートを見せてクレカ決済すればルームキーを渡してもらえます。チェックイン前の荷物の預かりもしてくれます。チェックアウトはルームキーをカウンター横のポストに投函するだけです。すべて小学生レベルの英語力でなんとかなりました。
ホテルの部屋
お部屋はこんな感じ。とても清潔感がありました。
窓からの眺めはオーシャンビューならぬウィンドウビュー。Backrooms に出てくる不穏な中庭にどことなく似ています。
便の振替
もともと2日後の便に振り替えの予定でしたが、ミュンヘンに着いてから、ANA より「明日の便に振り替えといたで」という趣旨のメールが来ました。おそらく乗客のキャンセルで空席が出たのでしょう。これで1日早く帰れます。
そのとき、ちょうど空港にいたので念の為 ANA のカウンタに聞きに行きましたが、振替後も当初と変わらず 最大 400 ユーロの補償といった内容でした。
交通事情
ドイツの都市圏には S バーン (S-Bahn) というものがあります。これはドイツ鉄道の都市近郊路線です。
景色はこんな感じ。気候が近いからか、北海道の車窓を彷彿とさせます。
これとは別に U バーン (U-Bahn) というものもあり、こちらは地下鉄にあたります。
新しい車両ばかりの S バーンとは対照的に、U バーンは車両が古く、内装はどことなく以前 YouTube で見た平壌地下鉄の旧型車両に似ています(そういえばあれはベルリン地下鉄からのお古でしたね)。
ミュンヘン都市圏ではこれらの乗車券は統合して購入できるようで、S バーンも U バーンも(なんならバスとトラムも)乗り放題の1日乗車券が売られていました。空港に DB(ドイツ鉄道)の券売機があったので、そこで購入。
システムが若干独特で、「ゾーン」というエリアごとにチケット代が決まる仕様になります。ミュンヘン空港は都市圏の外側のゾーン(ゾーン5)に含まれますので、ミュンヘン中央駅のあたりまで移動するために全地域乗り回せる乗車券を購入しました。15ユーロほどでした。(よく見たらゾーン6は不要じゃん…まあいっか)
乗車券の購入に関してはこちら↓のサイトが非常に参考になりました。ただし、記事ではゾーンが4つなのに対して、現地ではゾーンが6つに増えていたり、券売機の画面の選択肢も少し異なっていたので、もしかしたら情報が少し古いかもしれません。
【ミュンヘン Sバーン・地下鉄・トラム・バス】乗り方からチケット購入まで徹底解説 - Amazing TRIP
食事
ミュンヘンでは3回食事しました。
1回目は昼食で、Ratskeller München という、日本のガイドにも載っているらしい?ミュンヘン新市庁舎の中にある名店に行きました。
そこで頂いたのはヴルストとビール。早速ミーハーな部分が出ていますが、やはりこれは欠かせない。ヴルストはジューシー、オニオンフライはサクサク。最高でした。
2回目は夕食。夜遅かったので、ホテルの近くの店にしようと、空港内の店を選びました。Airbräu という、これまた評価の高いお店。
ここで食べたのはシュニッツェルとビール。またミーハーな部分が出ていますが、これも欠かせません。こちらも最高でした。ただ、流石に量が多かったです。サラダ付きとは思っていませんでした。
3回目は朝食。時間もなかったので先に保安検査や出国審査を済ませ、制限エリア内にあるパン屋で購入しました。
観光
もともとこの日は飛行機で帰る予定だったので何もやることはありません。ですので、ミュンヘン市内の交通を乗り回し、観光地を回りました。
まずはマリエン広場(Marienplatz)とミュンヘン新市庁舎(Neues Rathaus)。Marienplatz 駅の出口の目の前にあり、降りた瞬間ドドーンと視界に入ります。ミュンヘン新市庁舎には壁面に細部まで作り込まれた多数の像があり、写真では伝わらないくらい圧巻です。クリスマスマーケットが有名だそうですが、当然4月では開催していません。
その周辺。右を見ても左を見ても、普段日本では絶対に見られないほどの異世界でした。
バイエルン国立歌劇場(Bayerische Staatsoper)。国立と呼ばれていますが、実態はバイエルン州とミュンヘン市によって運営されているようです。こちらも圧巻です。
マリエン広場から少し歩いた位置にある、フェルトヘルンハレ(Feldherrnhalle)と、その隣のテアティナー教会(Theatinerkirche)。前者はバイエルン王国時代に建てられたものですが、ミュンヘン一揆の舞台になったという複雑な過去もあります。
後者はもっと古くに建てられたもので、バロック様式の美しい教会です。見た感想としては、とにかくデカイ。巨人でも入れそうなくらいの入口です。
ミュンヘン・レジテンツ(Residenz München)。バイエルン王家の王宮です。中がとても豪華絢爛のようですが、今回は時間がなかったので外から眺めるのみ。
バイエルン州政府庁舎(かな?)。レジデンツの隣にあります。
ルートヴィヒ1世の像(Reiterdenkmal für Ludwig I)。マリエン広場から勝利の門までの間の道沿いにありました。
勝利の門(Siegestor)。何に対する勝利かというと、ナポレオンに対する解放戦争(1815年)の勝利だそうです。
フラウエン教会(Frauenkirche)。縦撮りでも収まらないほどの高さです。全面レンガ造りで、夕日に照らされる姿がまた美しい。
ニンフェンブルク城(Schloss Nymphenburg)。ここだけマリエン広場から結構離れるのですが、バイエルン王家の夏の間の王宮だったそうです。庭園にはかなり大きい鴨や白鳥が何羽もいました。
帰国
翌日は無事飛行機が飛びました。バイバイヨーロッパ!次来るときは観光として来たいですね。
全体を通して
ヨーロッパ旅行で気をつけるべきこと
一つだけ残念だったのがスリの多さです。
今回、所持品が盗まれることはありませんでしたが、1週間の間に3回もスられかけました。
1回目:アテネの裏路地
正確な場所は覚えていませんが、人目につきにくい場所でした。
リュックを後ろに背負って歩いていたら、チャックが開いた感覚がしました。あれ?と思って右後ろを振り返ると、誰もいない。最初は木の枝にでも引っかかったのかと思いました。
その直後、自分の左側を何事もなかったように一人の男が手ぶらで歩いていき、スリ未遂だと気づきました。その後すぐに安全な場所で中身をチェックしましたが、特に何もスられていませんでした。財布の中身も特に変わりはありません。
下手なスリ犯だったのでチャックを開けられていることにすぐに気づけましたが、咄嗟に振り返っていなかったら危なかったでしょう。
以降、持ち物は必要最低限にし、リュックには常時持参の鍵をかけることにしました。
2回目:ミュンヘン、フラウエン教会前
教会の写真をスマホで撮影しているところ、後ろから不審な男が近づいてきました。
リュックに触れる直前、たまたま偶然リュックからカメラを取り出そうと横を振り向きました。そのときにバレたと思ったのか、何事もなかったように U ターンして反対方向に歩いていきました。
まあリュックを物色したところで鍵がかかっているので何も盗めないんですけど、下手したら手に持っていたスマホを盗られていたかもしれません。カメラを取り出そうと思わなかったら盗まれていたかもしれないので、本当に運が良かったです。
3回目:ミュンヘン中央駅のプラットフォーム
自販機で飲み物を買おうと、一瞬クレジットカードを取り出したとき、横から40~50代くらいのおっさんが急に近づいてきました。2回目のスリ未遂の直後だったのですぐに警戒し、視線を向けたら何事もなかったように去っていきました。ただ、こればかりは本当にスリ未遂だったのかは不明です。
コミュニケーションについて
できる限りネイティブの英語に近づけるように注力はしましたが、どうしても慣れてないとカタカナ英語のような発音になってしまいます。それでも親切に聞き取ってもらえました。よくよく考えればギリシャもドイツも非英語圏なので、非ネイティブなのはお互い様です。
トイレ事情
ヨーロッパではウォシュレットをはじめとするシャワートイレの類は一回も見ませんでした。
それからドイツはトイレットペーパーを流せますが、ギリシャは基本的に流せません。その場合はゴミ箱に捨てることになります。トイレットペーパーは硬めで尻が痛くなりました。
気候について
同じヨーロッパでもアテネとミュンヘンでは全く違います。4月下旬のアテネは東京よりも暑いくらいでしたが、ミュンヘンは北海道並みの寒さでした。
特に夜は寒いです。
今回、ミュンヘンでの一泊を想定していなかったので、アテネ用の薄着しか用意していませんでした。羽織るものといったら薄手のカーディガンくらいです。周囲はダウンジャケット姿の人ばかりでした。
食事について
やはり物価が高いので食費も馬鹿になりません。目安としてはギリシャで1人 20 ユーロ(約3300円)、ドイツで 30 ユーロ(約5000円)といったところです。ただ、量もワンプレートでもそれなりに多いです。パンは1個3~10ユーロ(500~1700円)くらいでした。
ヨーロッパではやはりチップの文化があります。両国とも5~10%が目安と聞いています。レシートにチップ分の値段を記述した上で決済してもらうので、チップも含めカード決済で OK でした。
ラジオ受信について
せっかく海外に行くので海外のラジオを聞きたいと思い、出国前に安めのラジオを購入していました。
購入したのはこちら。
AM/FM短波ラジオ ER-C74T | 商品情報 | ELPA 朝日電器株式会社
FM、AM、SW の3波が受信できるものの中では一番安いクラスかと思います。
Amazon や楽天市場で2500〜3000円ほどでした。
上空での受信
飛行機は機器類から電波を発しない限りは問題ないので、機内でのラジオ受信も OK です。
ただし、ある程度天候が晴れている&高度が高すぎない(離着陸前後1〜2時間くらいが目安?)といった条件が揃わないと受信は難しそうでした。
今回上空から受信できたのは往路(北極ルート)は日本、イギリス、ドイツの局。復路(中央アジアルート)ではトルコ、ジョージア、韓国の局を受信できました。
現地での受信
もちろん現地ではクリアに受信できました。受信地はアテネとミュンヘンです。
アテネは特に東京よりもラジオ局が多い印象でした。
感想
景色も食も言葉も文化も全く違う、人生で初めてアジアから出たこの1週間はとても刺激的でした。
思わぬトラブルもありましたが、とても良い経験になったかと思います。一人の人間として経験不足であった自分にとっては必要な試練だったのかもしれません。英語での聴収・発表にしろ、突然の一人ドイツ宿泊にしろ、いずれも無事終えることができ、一つの自信や勇気にも繋がりました。